この冬、私達家族はドイツから日本を訪れていました。
その日程は、新型コロナウィルスが武漢を飛び出し、ジワリと他国へ足を延ばし、あれよあれよという間に大陸を感染者の色で染め、ヨーロッパを蹂躙してゆく過程と重なりました。
この感染症が広まって最も影響を受けた業界のひとつが旅行業界でしょう。
そして星の数ほどの世界中の旅行者が予定の変更または中止を余儀なくされました。
私もそのひとりです。
日本ではANA特典航空券で4回飛ぶ予定だった
日本滞在中は、北海道・東北を旅行したり、親族の暮らす所へ訪問の予定でした。
その移動のうちいくつかの行程をANAの特典航空券で予約していました。
しかし、感染症が日本でも広がってゆく中で、特に後半の2区間分の旅程をキャンセルすることに。
その時点でANAからは“無条件で変更、払い戻しに対応できます“”とアナウンスされていたのでマイルが無駄にならないことが分かってホッとしていたんですけどね。
私の予約していた特典航空券は家族のマイルを合算して予約していたので、WEB上でキャンセルの手続きが出来ず、コールセンターに電話するも全く繋がらず。
コールセンターに電話し続ける事、1週間。しまいには何回かベルが鳴ると自動でブチっと切れる。・・・完全にパンクしとる。
困ったなーー。
いよいよ搭乗予定の前日になってしまい「ノーショーになってまう!!」と焦って右往左往。
結局、ANAだけど、本来は航空券の予約、変更、払い戻しを担当している窓口とは全く関係ない部署の高貴な方が対応してくれました。
ANAに迷惑が掛かるので詳しくは書きませんが、さすがの冷静で的確な対応で本当に助かりました。
マイルもソッコー戻ってきたし、有効期限切れ予定のマイルも有効期限が延長されるのは皆さんもご存知のとおり。
ひるがえって、国際線の話
はじめに、私達家族が日本に来るために予約した航空券の内容です。
私と父子便は別日程で、私は父子便に比べて数週間早く日本に向かい、数日遅れでドイツに戻る日程でした。
私が利用したのはKLM。
フランクフルト⇔(乗り継ぎでアムステルダム)⇔関空という旅程で、KLMの公式サイトで変更、払い戻しが出来ないタイプのチケットを購入しました。
父子組はANA・ルフトハンザ。
往路がフランクフルト⇒(羽田乗り継ぎ)⇒新千歳。
復路は関空⇒ミュンヘン。
各便で共同運航だったり、羽田⇒新千歳はエア・ドゥでしたね。
こちらも変更・払い戻しは出来ないタイプの航空券でドイツの格安航空券を扱う旅行代理店のWEBで購入しました。
日本滞在中に事態は急変
先ほども書いたように私達が日本に滞在している間に世界中に感染症が広がってゆき、日本滞在も残り数日になって特にヨーロッパで事態は悪化してゆきます。
ドイツの家族の話では、近いうちに休校措置が取られるだろうし、外出制限もほぼ確実に実施されるだろう。との事。
イタリアの絶望的なニュースは日本でも盛んに報道されていましたし、この衝撃は大きかったです。
そんなドイツに、これから状況が悪化してゆくのが目に見えているドイツに私達は本当に戻る事がいいのだろうか。と思ったのですよ。
どうせ子ども達が学校や幼稚園に戻れないのなら、このまま日本に居た方がいいのではないか。
夫はドイツに戻らないといけません。
仕事がありますからね。
そこで、私と子どもだけで日本に残る事を考えました。
でもすぐ無理だと分かって諦めました、予定通りドイツに帰った。
なぜ、無理だったか。
私のKLM便は問題なしでした。
その時点で手数料なしで変更可能な事はアナウンスされていました。
私が(ドイツへの)帰国便を何日でも伸ばすことは可能だったでしょう。
子ども達の便はANA/ルフトハンザ共同運航便だったので普通なら変更は可能だったはずです。
しかし、私と子ども達が一緒にドイツに戻るためにはどちらかの便を払い戻すか、捨てないといけない。
そうするとすれば2席分のANA/ルフトハンザの便を保存、変更して、私がKLM便をキャンセル、子どもと同じ便を取り直す事になります。
往路はもう乗っているので、復路はキャンセルした場合もう返金はされないでしょう。ものすごーく頑張ってもマイルで何割か帰ってくる程度。
一番ダメだったのは父子便の航空券を旅行代理店のサイトで購入していた事。
ANAもルフトハンザも航空券の変更に対応していましたけど、代理店から購入した人は代理店が変更の対応をするのが決まりです。
夫が代理店のサイトを見てみたけど対応してなかったみたい、往復マルマルのチケットなら返金されたかもしれないけど、復路のみでの対応はしていなかった。
そしてそんなもろもろを全て乗り越えてまで日本に残った方がいいのか、私と子ども達だけでいつまで続くか分からない、どうなるか分からない世界の片隅でじっとコロナの終焉を待った方がいいのか。と悩み、話し合い、あれこれ天秤に掛けてドイツに戻る事にしました。
当初の予定通りに、これから外出制限が始まる。と分かっているドイツに。
これが帰る先がイタリアだったら、スペインだったら。
きっと、私か子ども達どちらかのチケットを捨ててでも日本に残っただろうと思います。
飛ばなかったミュンヘン行き
父子組が帰国の日。
何があるか分からないので、私も関空まで見送りに行きました。
前日にオンラインチェックインしようとして、ログインできず調べまくったところ、この日のルフトハンザ関空⇒ミュンヘン便は運休になり、関空⇒(チューリッヒ乗り継ぎ)⇒ミュンヘンに振り替えられていたのでした。運航はスイスインターナショナル。
これ、私がオンラインチェックインしようとしなかったら当日空港に行くまで知らないよね。
夫に聞くと、なんの連絡メールも来ていない。とのこと。
おい、ちゃんと仕事せいよ!flugladen.de!おまえや!!
オンラインチェックインが出来ていなかったので、スイスインターの人にめちゃ怒られた。スノーボードみたいな規格外の荷物持ってたのと、夫の機内食のベジタリアンミールを当日空港のカウンターで問い合わせたから。
どっちもドイツに居る時にルフトハンザの公式サイトで往復便よろしくってオーダーしてたんやけどな。
運休になったら勝手に振り替えられるのはしょうがないけど、前もってオーダーしていた事を引き継いでなくて、文句言われるのは納得いかんな!
これは、スイスインターの人が悪いのでもなくて、ルフトハンザもまぁしょうがないし、やっぱりflugladen.de!おまえや!
おまえが悪い。てゆうか、足りてない。
それで、乗り継いでミュンヘンに到着したから、予約して支払い済みのミュンヘン⇒自宅への列車に間に合わなくて、それもパーになったし。
時間がずれ込んで鉄道の乗り継ぎがうまくゆかず、ミュンヘンから自宅まで6時間もかかったし、その分は何の保証もされなかったし、子どもと巨大な荷物何個も抱えた夫は死んだよね。さすがに鉄人と呼ばれる彼でもきつかったと思う。
子ども達だって大変だったはず。
実は振り替え便の乗り継ぎ地、チューリッヒは自宅からの距離、電車の接続具合から考えてミュンヘンと大差がないんです。
通常なら。
だったら、チューリッヒで降りちゃって、そこからドイツに帰れば?とも思ったのですが、この時ちょうど国境封鎖が始まるかどうか、今 まさにこの時!みたいな切迫した状況で、ややこしいからミュンヘンに飛ぶことにした夫。
正解でした。もし、チューリッヒから陸路でドイツに戻ろうとしていたらえらい混乱に巻き込まれていた。と思われる(ネットのニュースで見て)
ミュンヘンはドイツ。チューリッヒはスイス。最近、国境の観念が戻ってきたヨーロッパです。
数日後、私は無事にドイツに戻れました。
この経験で学んだ事
flugladen.deはあかん!
いや、そこじゃなくて。
体調が急変したり、何があるか分からない子連れは特に、旅行を計画する時は何かあった時の事を考えて決めていかんとあかんよな。
それは、もう前々からよーく分かっていたことなんですが、時として経済的理由付けによって回避されがちであったというか、希望的観測によって優先順位が低かったんですよ。
例えば航空券で1人30€の差額なら何とかひねり出せても、300€の差額ならもうあきらめるしかない訳で。
家族4人でなんぼになんのよ!
この騒動で明確になったのは、航空券を購入する時、回避しなければならない順番として・・・
①安さだけが売りの、聞いたことのない(もしくは外国の)旅行代理店が販売している、ばらばらの航空会社が組み合わされた、乗り継ぎの多い、変更も払い戻しも出来ない、航空券。
②安さだけが売りの、聞いたことのない(もしくは外国の)旅行代理店が販売している、同一アライアンス航空会社の、乗り継ぎの多い、変更も払い戻しも出来ない、航空券。
③安さだけが売りの、日本の旅行代理店が販売している、ばらばらの航空会社が組み合わされた、乗り継ぎの多い、変更も払い戻しも出来ない、航空券。
④安さだけが売りの、日本の旅行代理店が販売している、同一アライアンス航空会社の、乗り継ぎの多い、変更も払い戻しも出来ない、航空券。
⑤安さだけが売りの、航空会社が販売している、同一アライアンス航空会社の、乗り継ぎの多い、変更も払い戻しも出来ない、航空券。
⑥航空会社が販売している、同一アライアンス航空会社の、乗り継ぎの少ない、変更も払い戻しも出来ない、航空券。
⑦航空会社が販売している、同一アライアンス航空会社の、乗り継ぎの少ない、変更や払い戻しが出来る、航空券。
今回、私の便は⑥で、父子便は②に当てはまりますね。
航空券代金が比例するので、どこかで妥協しないといけませんが、これからは特に意識して吟味するようになると思います。
旅行業界を揺さぶり続ける、コロナ騒動。
ここ数カ月で淘汰される会社も出てくるのではないでしょうか。
航空業界だって持ちこたえられない会社もあるでしょう、ゆくゆく大きな変化、再編があると考え、今は何の旅行計画も立てられずにいます。
全てキャンセル可のプランにすればいいのでしょうが、まだ具体的に考えられない。
戻ってきた時、応援したくなるのは
人々が自由に旅行を楽しみ、世界がまた繋がる時。
そんな世界が戻って来た時、人々が応援したくなるのはどんな会社でしょうか?
私は、コロナの渦中で、航空券の無条件の変更・払い戻しに対応した航空会社は忘れません。
航空会社に限らず、困っている顧客を救済するような姿勢を見せた、または対応が取れた宿泊施設、旅行代理店、観光施設。
一番苦しんでいるのは事業者そのものだという事も、よく知られているでしょう。
逆風はまだ収まる様子がないけれど、その翼を折らずになんとか耐えて欲しい。
以前のように、様々な思いや夢を乗せてたくさんの飛行機が行き交う日が来るのを待っています。