封鎖措置が緩和されたドイツの綱渡り

薔薇

こんにちは。ドイツの田舎で引きこもり生活を送るTAKIママです。

 

今回は、外出制限が緩和されつつあるドイツの現状をお伝えしたいと思います。

人の少ないド田舎に住んでいるので、私の目から見える景色と都市部ではだいぶ異なるものがある事を含み置きください。

 

喧々囂々のオンライン保護者会を経て、今週から小学校最終学年である長男はクラスを半分に分け、週の半分授業を受けるという形で学校に通っています。

今週は火曜と木曜、来週は月、水、金、というようにクラスを半分に分けてます。

他の学年はまだ休校状態だし、教室も教師も余っているから対人距離を取りながらクラス全員に授業を受けさせることが出来るのでは?という疑問はありますが、『お子様に充分な教育が施されていないと感じる保護者はもう一年4年生をしていただいてもいいのですよ』という提案にみんな無言になりました。

 

閉鎖されていた公園、運動場も開放され、子ども達が外で遊ぶことが出来るようになりました。

商店やレストランも再び営業を始め、来週には条件付きで宿泊施設や観光施設も営業が許されるようです。

リモートワークが可能な職種は引き続きホームオフィス推奨で、それ以外の人は十分に対策を取ってオフィスに戻る人も増えています。

 

全ては試験的な緩和であり、医療が危機的なラインに達したらすぐまた厳しい制限に戻しますよ。という条件付きです。

 

ここまでのドイツ政府のコロナ禍対応は総じてドイツ国民に高く評価されているようです。

欧州第1号と呼ばれた、ミュンヘンの企業内クラスター封じ込めに成功した事。

厳しい封鎖措置と同時に生活を守る保証も素早く行った事。

何よりも医療崩壊を免れた事が大きいと思います。

 

初めにこの新型コロナウィルスが武漢で広がりを見せて、ミュンヘンでも感染者が確認された頃、欧州の多くの国では集団免疫の獲得を目指す風潮でした。

か弱いアジア人からみるに体力に根拠のない自信を持っているドイツ国民も世論としては、経済活動を維持しながら集団免疫の獲得を目指す方向だったのではないでしょうか。

それが、イタリアやスペインで壊滅的な被害が広がったのを目の当たりにしてドイツ人も震え上がり、そこからのメルケルさんの動きの速かった事。

そして、6週間に及ぶロックダウンを経てやっと外出制限の緩和にこぎつけた訳です。

規制緩和に踏み切った最大の理由は、医療が充足している事が大きいでしょう。

ドイツでは病床数が十分にあり、このコロナ禍の中でも必要な人全てに医療を施すことが出来ているのは大きな強みです。

 

しかし一転、数字を見てみるとコロナの死者数は現在7500人を超えており、イギリスやイタリアなどと比べるとだいぶ抑えられてはいますが、日本の600人強という数字と比べると桁違いに多い。

ドイツは日本より人口が少ないのにですよ。

ドイツと日本では感染者数のグラフにいる位置が違うという事はありますが、7500人以上の死者が出ていても、もうピークアウトしたから制限緩和だ。となったのはやっぱりもうこれ以上経済が回らなくなったから。

そして、充分な医療レベルを維持している中でそれでも助からない患者は一定数いるんだ。という身もふたもない事を踏まえて、救える患者が助かっているならそれでいい。医療を維持できているなら、経済を回していかないとこちらの被害が取り返しのつかない事になる。と。

ドイツ人は冷酷なんですか。

スウェーデン式にシフトしたようです。

ここから見えるのは、“感染しないようにする”のは無理なので、感染の広がりの輪をなるべくゆっくりにしつつ、医療崩壊しないようにバランスを取りながら出口を探っていこう。という姿勢です。

 

まだ明らかになっていない事が多い新型コロナウィルスに対応していくのは、どこの国も手探りで、感染のピークを抜けたとみられるドイツも綱渡りの規制緩和です。

 

これまでの新型コロナウィルス対策でドイツがラッキーだった事、上手くやっていると言われている要因はいくつかありますが、私が考えるのは以下

 

①欧州感染1号が国内で発生し、それを封じ込めた後にコロナ禍の波が来るまでに十分な時間があった。

②国民一人当たりに対する医療資源が豊かで、またコロナ禍の波が来るまでに“市中感染は広まる”という前提で準備を整える事が出来た。

③強制力のある制限措置を迅速に実行することが出来た。

④生活保障や救済措置を素早く実施、制限措置に対する不満を抑える事が出来た。

⑤周辺国に比べ被害が小さいので、以上の対策の効果があったと評価された。

 

そんなところです。

長くなりました、次回に続きます。