ドイツ、バーデン・ウィッテンベルク州にあるマウルブロン修道院です。
この回ではマウルブロン修道院内部を見学したいと思います。
教会堂玄関ホール「パラディース」(Paradies)、教会堂へ通じる扉。
扉の美しい装飾だけでなく、本来は天井アーチなどホール全体に装飾がされていましたが、今はほんのわずかしか残っていません。
修道院内部へはこのホールの北側に入り口があります。
通常は無人で、自動改札機を通って入場しますので、広場にあるインフォメーションセンターでチケット購入を済ませて来てください。
私が行った時は、コロナ対策の為に修道院入り口に職員がいて、申告書の記入とマスクの装着を促されました。
12世紀から建設の始まったマウルブロン修道院はロマネスク様式からゴシック様式までの建築様式の移行が見られます。
カトリック教会の厳しい戒律で知られるシトー会によって建てられたマウルブロン修道院は、自給自足を理想とし、当時は辺境であったシュトロームベルクの丘隆地にあります。
修道院は今も残る城壁で囲まれ、外界とは隔離された場所でした。
ここで修道士たちは瞑想と祈り、質素な生活のための労働に従事する毎日を送っていました。
マウルブロン修道院では、野菜、薬草、果物が栽培され、ワイン作りのためのブドウ畑、養魚場まであるんですよ。
教会堂のパイプオルガン。
修道院は回廊になっており、中庭には立派な木蓮が植わっています。
当時、修道士は『修道士』と主に労働を担う『平修道士』の2階級に分かれていました。
階級の異なる修道士は食事の内容から寝室まで全く違う毎日を過ごしていました。
食事の内容は重労働に従事する『平修道士』の方が量も多く、栄養価の高いものが許されていたそうです。
今も湧き出る泉。
修道士たちは、この泉で手を洗ってから食堂に向いました。
『修道士』の食堂。
『平修道士』の食堂。
修道士の生活は厳しい戒律に従って決められていました。
私語は禁じられ、設けられた小さな談話室で小声で話す事しか認められていなかったそうです。
冬の寒さの厳しいこの地方で、暖を取ることも叶いませんでした。
真夏に訪れたこの日でも修道院内部はひんやりとしており、真冬の寒さはどれほどだったのかと想像して寒がりの私はゾッとしましたよ。
宗教改革後、マウルブロン修道院にはプロテスタントの神学校が併設されました。
現在も男女共学のプロテスタント神学校として、14歳から18歳の生徒が学んでいます。
上の画像は“ここから先、学校関係者以外は立ち入り禁止”の扉。
次回はマウルブロン修道院の外、修道院付属の建築物、修道院敷地内を散策します。