12世紀にマウルブロン修道院の建設が始まった時、この辺りは森の広がる丘陵地でした。
修道院と共に拡大してきたマウルブロンの街の一番古い地区がこの『シャーフホフ』です。
『マウルブロン修道院』最終回は、『シャーフホフ』と、修道院に必要不可欠な水システムを供給した湖『ティーファー・ゼー』を巡りたいと思います。
『シャーフホフ』
『シャーフホフ』(Schaf:羊-hof:庭)はマウルブロン修道院の東にある一角で、マウルブロンの街で一番古い地区です。
元々この一帯は修道院建設のための採石場でした。
修道院建築後、石の取り除かれたこの地域に羊牧場が置かれました。
1159年1月に、ガンターフォンシュパイヤー司教から1200頭の羊が寄贈されたとの記録が残っています。
マウルブロン修道院では、近隣の森に羊を放牧し、この『シャーフホフ』で管理していました。
衣類用の羊毛や羊皮紙を得るため、羊の飼育はマウルブロン修道院の重要な事業でした。
中世にはシトー会がヨーロッパで最重要な羊毛生産者であったそうです。
Museum auf dem Schafhof シャーフホフ博物館
シャーフホフには歴史的な資料を保存公開している博物館があります。
私が訪れた時は、新型コロナウィルスの影響で休館していました。
※現在は通常営業に戻っています。
シャーフホフは小さなエリアですが、ドイツの昔ながらの農家の趣がそのまま残っているので時間があれば覗いてみるのも楽しいと思います。
ティーファー湖
マウルブロン修道院の北東にある湖。ティーファー湖 (Tiefer See)
古の修道士たちも、この湖で水浴びをしたに違いありません。
湖から引いた水路がザルツァッハ川として、マウルブロン修道院の敷地を東から西に通り抜けるように流れています。
ザルツァッハ川を利用した水システムは、修道院建設の時から高い技術で用いられ、修道院の生活を支えていました。この水システムは、現在も初期の頃とほとんど変わらない形で残っています。
Naturfreibad Tiefer See (湖水浴場)
夏はこのように、湖水浴場として営業しているんですね。
更衣室やトイレ、カフェテラスなども完備された湖水浴場で、マウルブロン修道院の神学校の生徒たちも泳ぎに来ていました。
マウルブロン修道院は世界遺産の宗教施設ですけど、湖はあるし、レストランやカフェものんびりしているし、広い敷地にそれほど多くない観光客という場所で、子連れにも良さそうです。
特に夏は修道院見学のついでに湖水浴も出来るので、家族連れにも楽しく過ごせるのではないでしょうか。
4回に渡ってお届けしました『マウルブロン修道院』
有名な観光地ではないけれど、厳かな佇まいの修道院は一見の価値あり。
ドイツに来ることがあれば『世界遺産・マウルブロン修道院』にもぜひお立ち寄りください。