新型コロナウィルスに感染して回復した人の再感染はあるのか?【追記あり】

landau

 前回の記事で、ドイツでは新型コロナウィルス対策において、ワクチン接種者と回復者に対して『基本的権利に対する不当な干渉の廃止』が検討されています。というレポートを紹介しました。

www.takimama.com

 

ここでは、ワクチン接種者と回復者がほぼ同列に扱われています。
世界最速でワクチン接種が進められているイスラエルでは、1度コロナウィルスに感染して回復した人はワクチン接種対象になっていないのだとか。

 

では、科学的にみて新型コロナウィルスに感染して回復した人がワクチン接種を完了した人と同じくらい抗体を持っているのか。

再感染の可能性はどのくらいあるのか。

また、ワクチンがウィルス変異に対してどのくらい効果があるのか、ワクチン接種後の効果が持続する期間がどのくらいなのか。

分かる範囲で情報を集めてみました。

 

 

新型コロナウィルスに感染した人の抗体はどのように変化する?

免疫については『Robert Koch Institut』にある記述を読んでみました。

www.rki.de

わ、分っかんね・・・。

『17. Immunität』の項が免疫についてです。

 

 

・感染してから第2週の終わりには中和抗体が出来る。

・症状が重篤であった患者と無症状やごく軽微な症状であった患者で、抗体に差が出来るのかはまだ不明である。

・(おそらく発症後2週間目で)軽症者・無症状者から検出される抗体量・中和抗体の力価は少ない。ただし、抗体の力価が再感染・重症化にどの程度影響するかは定かではない。

・1回目の感染とは別の感染経路(ウィルスゲノムに変化がみられる)による再感染はまれである。

・再感染の場合、無症状か軽微な兆候しか出現しない為、気づかれないことが考慮される。

・1回目の感染でのウィルスが長期に渡って留まり、検出される事もある。

・再感染者は鼻腔内に高レベルのウイルスを有し、ウイルスを感染させる可能性がある。

 

以下は、全く意味が分からなかったので原文を引用します。

分かる人、説明してください。

Eine vorangegangene Infektion mit HCoV kann eine kreuzreaktive Immunantwort sowohl auf B- als auch auf T-Zell-Ebene auslösen. Bei Personen verschiedener Altersstufen ohne SARS-CoV-2-Infektion wurden HCoV-Antikörper gemessen, die mit dem Spike-Protein von SARS-CoV-2 kreuzreagieren und neutralisierende Wirkung besitzen (261). Im Gegensatz hierzu waren in zwei weiteren Studien entweder keine kreuzreaktiven neutralisierenden Antikörper nachweisbar (262) bzw. es konnten kreuzreaktive Antikörper nachgewiesen werden, die nicht protektiv waren (263). Darüber hinaus ist über eine T-Zell-Kreuzreaktivität von HCoV und SARS-CoV-2 berichtet worden, die möglicherweise Schutz vor einer schweren COVID-19-Erkrankung bietet. Bei ca. einem Drittel der Probanden ohne nachweisliche SARS-CoV-2-Infektion waren reaktive CD4 T-Zellen gegen SARS-CoV-2 vorhanden, die allerdings bei schwerem Erkrankungsverlauf eine niedrige Avidität und Klonalität aufwiesen (264). Bei Erkrankten wurde eine T-Zell-Reaktivität gegen das Spike-Protein (265) sowie gegen weitere SARS-CoV-2-Proteine festgestellt (266, 267), die mit dem Nachweis neutralisierender (267, 268) bzw. Nukleocapsid-Antikörper korrelierten (269). T-Zellen wurden auch bei Infizierten festgestellt, die keine Antikörpertiter aufwiesen und asymptomatisch waren (270). Ein Nachweis SARS-CoV-2-reaktiver T-Zellen früh nach Infektionsbeginn nimmt möglicherweise Einfluss auf den Verlauf der Erkrankung (271). Darüber hinaus ist der Nachweis sowohl naiver als auch CD4- und CD8-positiver T-Zellen mit einem milderen Verlauf assoziiert (272). Sechs Monate nach Symptombeginn konnten Antikörper gegen das Spike-Protein und auch mehrheitlich Spike-Protein-spezifische B-Zellen nachgewiesen werden, dagegen wurde ein Abfall CD4- und CD8-spezifischer T-Zellen mit einer Halbwertzeit von 3-5 Monaten beobachtet (273). Weitere Studien belegen eine Beständigkeit neutralisierender Antikörper über mehrere Monate nach Infektion (274-277). Auch wenn diese Ergebnisse keine protektive Immunität beweisen, legt der Nachweis potenter neutralisierender Antikörper einen Schutz vor schweren Krankheitsverläufen mit erhöhter Überlebenswahrscheinlichkeit nahe. Diese Antikörper schützen möglicherweise vor Reinfektionen mit zirkulierenden SARS-CoV-2-Stämmen, nicht aber vor künftigen Coronavirus-Pandemien (277).

Auf den Übergang eines milden in einen schweren COVID-19-Zustand könnten die Chemokinliganden CCL3 und CCL4 hinweisen, die bei kritischen Verläufen deutlich ansteigen (278). Bei schweren COVID-19-Verläufen mit Todesfolge wurde eine Hemmung des B-Zell-Reifungsprozesses beschrieben (279). Es ist noch unklar, ob diese Störung der B-Zell-Reifung auch bei milderen Verläufen auftritt. Die B-Gedächtniszell-Antwort entwickelt sich während der ersten sechs Monate nach Infektion, und eine Antigenpersistenz trägt möglicherweise zur Entwicklung der B-Zell-Antwort bei, die bei Reinfektion vor einer erneuten Erkrankung schützen (280). Typ I Interferone scheinen vor einem schweren COVID-19-Verlauf Schutz zu bieten, da eine lebensbedrohliche COVID-19-Pneumonie bei mindestens 10% der Erkrankten mit Nachweis neutralisierender Autoantikörper gegen Typ I-Interferone auftrat (281). Darüber hinaus existieren Hinweise, dass sowohl beim Menschen als auch im Tiermodell eine geschlechtsspezifische Immunantwort die Schwere der Erkrankung beeinflusst (282, 283).

『ここから追記』

引用部分が言いたいのは「感染後の抗体産生量に依存して1回目感染の重症化、2回目感染のリスクがある程度想定できますよ。(ただし再感染のリスク頻度は不明のまま)」という内容です。

 

その前に用語解説ですが、まずヒトの免疫システムには①細胞性免疫②体液性免疫の2種があり、前者が初見の侵入抗原(今回の場合1回目感染)に対応する軍隊、後者が既侵入歴のある抗原(再感染)に対応する軍隊です。

①で活躍する主な兵隊がCD4ヘルパーT細胞とCD8キラーT細胞です。これらはヒト細胞が元から持っている兵隊で、自らが侵入抗原と戦います。対して②で活躍する主な兵隊はB細胞と「抗体」です。②の大きな特徴は司令官であるB細胞が抗体という、今回でいうSARS-CoV2専用の特殊部隊を呼んでSARS-CoV2を叩く、という点です。

また、中和抗体・中和活性というのは簡単にいうと対象のタンパクの働きを弱めることを指します。

 

で、前置きが長くなりましたが、引用部分の概要です。

・HCoV(既知の風邪ウイルス)に感染したことがあるとSARS-CoV2の感染力を弱める傾向があり、重症化抑制に寄与している可能性がある。

・SARS-CoV2に対応するCD4は非感染者の1/3が保有していた。

・CD4,CD8の検出量と重症度は逆相関関係にあり、無症状患者からは多く、重症化患者からは少ない検出であった。

・感染後約6ヶ月程度で大量のB細胞と抗SARS-CoV2タンパク抗体が検出された。

・中和抗体は感染後数ヶ月間保有できるけど、それがどの程度の防御効果があるかはわからない(再感染の頻度はわからない)

・抗Ⅰ型インターフェロン中和抗体を持つ患者の10%が生命を脅かすSARS-CoV2由来肺炎を発生していた。(インターフェロン:IFNはウイルスを弱毒化するサイトカインなのでこれに対する中和抗体の存在はすなわちウイルスの活性を許してしまう。←特にSARS-CoV2はIFN抑制が顕著との報告があり、この辺のメカニズムは最近東京大学医科研のグループが解明して報告しています。)

 

では、もうちょっと分かりやすい研究報告を。

www.sciencedirect.com

2020年にデンマークでPCR検査を受けた400万人の個人におけるSARS-CoV-2による再感染に対する免疫の報告です。

 

第1波(2020年3月から5月)にPCR検査で陽性と判断された人で、第2波(2020年9月から12月)の感染率を分析しました。

この分析では、日付に関係なく、少なくとも3か月前に感染が確認された場合とない場合の年間の感染率を比較しました。また、代替コホート分析で、年齢層、性別、感染からの経過時間によって違いが見られるかどうかを調査しています。

調査の結果、反復感染に対する防御率は80・5%でした。

65歳以上の人々の間で、繰り返し感染に対する防御が観察されたのは47・1%でした。

この研究では、特に高齢者の間では自然免疫に頼ることができないため、どのグループにワクチンを接種すべきかについての決定に情報を提供し、以前に感染した人へのワクチン接種を提唱しています。

 

最低でも3カ月は上の結果のような免疫抗体があるようですね。

しかし、この研究が行われた時期は、現在蔓延しているような変異種が流行する以前であり、従来型の新型コロナウィルスから回復した人が変異種のウィルスに対して同じような免疫を持つのかは証明されていません。

 

それでは、まとめましょう。

 

・新型コロナウィルスに感染して回復した人の再感染率は低いがゼロではない。

・回復者の免疫は80.5%に認められ、65歳以上においては47.1%である。

・無症状や軽微の兆候しか示さなかった元感染者は十分な免疫が得られない可能性があるが、詳しくは不明である。

・回復者の免疫は最低でも3カ月は有効であるが、時間の経過につれて低下すると考えられる。

・回復者の免疫は、新たな変異種に対しても有効であるかはまだ実証されていない。特定の変異種に対しては防御が働かない可能性もある。

 

日本語で紹介されている記事では、この方の報告が早くて、分かり易くて、信頼できる情報ですね。

news.yahoo.co.jp

 

ワクチン接種は感染の拡がりも抑制する。

www.welt.de

ワクチン接種を受けた人でも、新型コロナウィルスに感染する可能性はゼロではありません。

しかし、感染してもワクチン接種を済ませている場合は他の人に感染させる割合が減少する。という報告がありました。

公衆衛生機関公衆衛生イングランド(PHE)によって委託された最近の英国の研究の結果です。

以前に予防接種を受けた人がウイルスに感染したケースを調査した24,000世帯が対象です。

この調査では予防接種を受けていない人よりも他の世帯員に感染を伝える可能性が38~49%低いと報告されました。

 

ワクチン接種で多くの命が救われることは実証されていますが、感染の伝播を防ぐ効果もあるのであれば、人類にとってさらに良いニュースですね。

ドイツでは、ワクチン接種の効果が少しずつ現れてきており、夏には多くの人が2回のワクチン接種を完了させるとみられています。

 

ワクチン接種で得られる免疫の効果はどれくらい持続するのか。 

www3.nhk.or.jp

少なくとも半年は有効という事ですね。

特定の変異種についても同じ期間、効果が期待されるのかというのは調査中であり、まだ詳しくは分かっていません。

 

ドイツでも注目される変異種の脅威

ドイツで現在確認される新規感染者の多数が英国型変異種であり、ほとんどの地域で従来型から変異種に置き換わったとみられています。

英国型変異種に対してワクチンの効果ですが本家英国の状況を観察して、従来型よりはワクチンの効力は少し劣るが十分な効果が維持されると考えられています。

今、固唾をのんで見守っているのはインド由来の変異株でしょう。

インドでの感染爆発を受けて、この波は2カ月以内にドイツにもやって来るだろうと言及されました。(その新聞記事を見つけられませんでしたが、ドイツのえらいお医者様の発言です)

ビオンテックは、インド由来の変異株にも十分な効果がある。という声明を発表しました。

しかし、インド由来の変異株に関しては不明な点が多く、ドイツ政府も情報収集に努めている。といった状況です。

今、必死にワクチン接種を進めているなかで、2か月後にこの変異種の波が来た時に、ワクチンの効果がない。といったシナリオは『ほんま、勘弁!!』ですね。

そうでない事を祈ります。

 

以上、新型コロナウィルスの免疫効果がワクチン接種者と回復者でどれくらいあるのかを調べてみました。

一言でいえば『まだ解明されていない部分が多い』でしたね!

 

・・・頑張ったのに。

 

 

続けて読むとより解る。↓ 

www.takimama.com

 

 

【追記】2021年5月2日

『Robert Koch Institut』の記述が難し過ぎて、少々やけくそでほおり投げたレポートを説明してくださった方がいました!

いや、本当に(翻訳アプリ使っても)意味が全然分からなかったんですよ。

丁寧な解説をコメントしていただいたので、そのまま追記します。

記事内の青文字になっている部分が追記した部分です。

どーん! よく分かりますね!!

 

Starwave (id:Starwave)さん!

本当にありがとうございます!!

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Disney旅行やホテル宿泊記を書かれているブログです。

ラグジュアリーなホテルの宿泊記はとても丁寧にレポートされていて、憧れます。

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